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Story 4

今だからわかる… -結婚式を望んだ母の気持ち-

「結婚式なんて、しなくていい!」とずっと思っていて、入籍だけに。あれから10数年。後悔はないけれど、しなかったことって、どうしてこうも気になるのでしょう……。

(写真) だれかの幸せそうな顔をファインダー越しにのぞくのが大好き。
それが高じて、わたしは今、結婚式の撮影をなりわいとしています。
結婚式に臨席させていただいて、支度のときからお開きまでたくさんの写真を撮影。
その写真で、おふたりの結婚式のアルバムができあがります。

ほんとうに、さまざまな結婚式があります。
不思議なもので、結婚式の間じゅう新郎新婦を撮影していると、まるで家族の一員のような気持ちになるんです。自分の気持ちが、ずっと新郎新婦やご両親、そしてゲストの方の気持ちを想っているからでしょうか。
滞りなく仕事(その日の結婚式の撮影)を終えて、うちに帰ってから写真データを整理するひとときが、またうれしくて。
写真のなかの笑顔の花嫁や、ご両親の表情を見て、今日一日の素敵な結婚式を思い出し、つい顔がニコニコしてしまいます。
そんなわたしを見て夫は、「またひとりで笑ってる。不気味だなぁ……」と言って笑うのですが(笑)。

夫とは10数年前に結婚したのですが、式はせず入籍だけ。
しかも仕事の昼休みの間に済ませてしまったというありさまでした。

わたしは、だれかの素敵な結婚式を撮影するのは大好きですが、自分が被写体になるなんて恥ずかしくていけません。自分がドレスを着るなんて、考えただけで恥ずかしいのです。ウエディングドレスは、誰か素敵なお嬢さんがお召しになるもので、決して自分が着るものではありませんでした。たくさんの女性たちがウエディングドレスに憧れる……そういう感性が自分にはまったくないのです。きれいな花嫁と、それを撮影する自分。それだけで満足でした。

ドレスを着たいなんて思わなかったし、彼は再婚で年齢差もあるし、ブライダル業界の知人も多いから気も遣うし……。
彼は式をすることをすすめてくれたのですが、結局「じゃあ、無理に結婚式をする必要もないね」ということで落ち着きました。
別に結婚式をしなくてもわたしたちの愛が変わるわけじゃなし、新しい人生の始まりに華美なセレモニーなんていらない……そんな風にも思っていました。

ただ、わたしの実家は地方で、しきたりにうるさい土地がらです。

わたしが結婚式をしないことで母が周囲から責められたことを、あとになって聞きました。
「いまどきの人にはいろいろあるのよ。本人の思いを尊重してやりたいから」。
母はだれかに結婚式のことをとがめられると、そう応えてくれていたようです。

その時初めて気づいたのです 「おかあさんは、やっぱり結婚式をしてほしかったんだな」と

(写真) しかし、入籍からしばらくたって、とある飲食店で新しい家族も含めて、私の家族と一緒に簡単な食事会をしたときのこと。
母は大きな荷物を持ってきていて、わたしが「なにを持ってきたの?」とたずねると「これは引出物」と、ひと言つぶやいたのです。

その時になって、初めて私は、「おかあさんは、やっぱり結婚式をしてほしかったんだな」と気づいたのです。

それまでは、まぁまぁの孝行娘のつもりでいた私としては、思いの至らなさに衝撃を受けました。

お母さん、気づいてあげられなくてゴメン!


「結婚式をしない」という選択があってもいいと思う。

ただ、私は、「結婚式をしなかったこと」を後悔はしてはいないけれど、それがこれほど胸の奥でつかえることになるとは、思ってもみませんでした。

日々、実際の結婚式をお手伝いさせて頂く中で、泣き笑いの新郎新婦・そしてご両親やゲストの皆様が喜ばれるご様子を、カメラのファインダー越しに拝見していて、そのつかえが大きくなってきました。


結婚式を「する、しない」は、結局その人が決めること。

でも、結婚式に対して「いろんな想い」があることが分かった今、わたしは、自分の体験をお伝えすることで、これから結婚式をお考えの方が、何かを感じ、そっと、背中を押すお手伝いができればと思っています。

そして、私は今、結婚式を挙げられるお二人やご両親、ご参列の全ての方のキモチを想いながら、一瞬一瞬を大切に結婚式をお手伝いさせて頂いていきたいと思っております。

※このストーリーは、かなえる婚スタッフが、実際に体験・見聞きしたエピソードをもとに、部分的に修正を加えたものです。

スタッフからのメッセージ

熊田治江

(写真) 一緒に泣いたり笑ったり。
出席者と間違えられたことがあるのは、そのせいかも。
お客様の想いと、私が受けた感動を、写真という形にしてお返しするのがテーマです。

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